ローコスト住宅と大手ハウスメーカーを、我が家と比べてみた|性能・価格・維持費の違い
この記事は約11分で読めます
大手ハウスメーカーのような素敵な家に住みたい。けれど、予算を考えると厳しい。かといって、ローコスト住宅だと、性能やあとからかかる費用など、気がかりなことも多い。注文住宅を考え始めた方なら、一度は、こんな思いを持ったことがあるのではないでしょうか。
私が建てた家は、ローコスト住宅です。ただし、家の安全性を大切にしながら、ある程度の要望も聞いてもらえそうだと感じた、設計事務所を母体とする会社にお願いしました。当初の建物本体工事は1,391.8万円(税込)で、坪単価にすると約39万円でした。そこから必要な部分のグレードを上げていく作業は、すごく楽しく、結果は大成功でした。性能にもとても満足しています。ただ、家づくりは、会社の名前や「安い」「高い」というイメージだけで選ぶと、あとから「こんなはずでは」となりやすいものです。そこで、性能・価格・維持費の3つの面で、ローコスト住宅・大手ハウスメーカー・我が家を並べて比べてみます。比べると、会社の名前ではなく「中身」で判断するための物差しが手に入ります。我が家は、ローコストの価格帯の家を「調べて選んだ」実例として登場します。そのうえで、それぞれのタイプに多い「心配ごと」を、我が家がどう乗り越えたかをお話しします。
「安さだけで選んで、あとで後悔した」…そんな話を聞いたことはありませんか?
(登場人物は架空です。よくあるケースをもとにした例です)

本体価格の安さでローコスト住宅に決めたら、オプションや外構が加わって、総額が思ったより増えてしまいました…。

逆に、ハウスメーカーなら安心だと思って選んだら、予算を超えて、ローンが重くなる人もいます。

どちらを選んでも、失敗することがあるんですね…。

大切なのは、名前ではなく、中身です。性能・総額・維持費で、比べてみましょう。

では、ローコスト住宅とハウスメーカー、そして我が家は、何が違うのでしょうか。性能・価格・維持費で、比べてみましょう。
ただし、ここで書く内容は一般的な傾向と、我が家の実例です。この記事で「大手ハウスメーカー」と呼ぶのは、全国で家を建てている規模の大きな住宅会社のことです。なお、ローコスト住宅の中には、ハウスメーカーが建てているものもあります。ローコスト住宅にも高性能な商品はありますし、大手ハウスメーカーにも会社ごとに特徴があります。特定の会社や商品の良し悪しを言うものではないので、参考のひとつとして読んでください。
我が家の費用の内訳や、性能のくわしい中身は、別の記事に書いています。この記事では、家を選ぶときの「比べ方」と、チェックするポイントに絞ってお話しします。

3つのタイプの違いをざっくり比べる
まず、全体像です。ローコスト住宅と大手ハウスメーカーの数字は、住宅会社の費用を紹介している情報サイトの目安を参考にしています。我が家の数字は、実際に払った金額です。なお、大手ハウスメーカーについては、我が家は見積りを取っておらず、見学や相談をした範囲での話になります。
| 項目 | ローコスト住宅 | 大手ハウスメーカー | 我が家 |
|---|---|---|---|
| 坪単価の目安 | 50〜70万円 | ミドル70〜90万円、ハイ90万円以上 | 60.7万円(付帯工事込み・約8年前の実額) |
| 設計の自由度 | 規格化されていて低め | セミオーダーで低〜中 | 自由設計(間取りはシンプルに) |
| 性能の分かりやすさ | 商品・仕様で幅がある | 最新技術で均一・安定とされる | 耐震等級3・C値0.52を数値で確認 |
| 保証 | 会社により異なる | 20〜60年の長期保証が充実 | 地盤品質保証20年、瑕疵担保責任保証10年 |
| 外壁のメンテナンス | 10〜15年ごとが目安 | 10〜15年ごとが目安(保証の条件になることも) | 厚さ16mmのサイディング(光セラ16)と30年もつシーリングで、30年目までは大規模な修繕は不要の見込み |
この表だけ見ると、我が家の坪単価は、ローコスト住宅の価格帯の中にあります。ただし、坪単価は、何が含まれているかが会社ごとに違うので、数字の大小だけで比べることはできません。そこで、ここから先は、項目ごとにくわしく見ていきます。

性能で比べる
耐震性:数字と計算方法まで確認する
耐震性の目安になるのが「耐震等級」です。等級3が最も高い等級ですが、どうやって確認した等級かも大切です。建築基準法で求められる壁の量の計算(壁量計算)や、壁の配置バランスの確認(四分割法)、柱や土台をつなぐ金物の検討(N値計算)といった方法のほか、建物全体を詳しく計算する「許容応力度計算」があります。
我が家は、建築基準法に沿った壁量計算、四分割法、N値計算の結果を「建築基準法総合判定表」にまとめています。長期優良住宅の技術的審査適合証にも、適合を確認した認定基準として耐震等級3と記載されています。構造や基礎の仕様など、くわしい中身は別の記事に書いています。
気密・断熱:「測っているか」が分かれ目
気密性能は、「C値」という数字で表します。小さいほど隙間が少なく、冷暖房が効きやすくなります。ここで大事なのは、実際に測っているかどうかです。設計上の数字はよくても、完成した家で測ると差が出ることがあるため、気密測定を標準にしていない会社もあります。
我が家のC値は0.52です(住宅気密性能評価書の記載)。同じ評価書には、50パスカル時の漏気回数(ACH)も0.8回と記載されています。吹付ウレタンフォームの断熱に、熱交換型の換気システムを組み合わせています。
断熱性能は、「UA値」(小さいほど熱が逃げにくい)や、断熱等級という数字で表します。気密と同じく、この数字が書面で出てくるかどうかも、比べるときのポイントです。
外壁:長持ちする素材を最初に選ぶ
外壁は、性能というより、あとで必ずかかる維持費につながる部分です。一般的な外壁は、10〜15年で塗り替えやシーリングの補修が必要になります。我が家は、外壁には、厚さ16mmの厚めのサイディング「光セラ16」を採用し、つなぎ目のシーリングも30年もつタイプにしました。この組み合わせで、30年目までは大規模な外壁の修繕は不要と見込んでいます。くわしくは、維持費の章でお話しします。
価格で比べる
坪単価の目安(万円/坪)
目安は情報サイトの数字。含まれる範囲は会社ごとに違います
坪単価の目安は、ローコスト住宅が50〜70万円、大手ハウスメーカーのミドルクラスが70〜90万円、ハイクラスが90万円以上です(住宅費用の解説サイトより)。我が家は、付帯工事込みで60.7万円、付帯工事を除いた建物本体だけだと約54.6万円でした。ただし、我が家の数字は約8年前の実額で、ローコスト住宅とハウスメーカーの目安は、現在の情報サイトの数字です。建築費は上がっているため、単純には比べられない点に注意してください。
家を建てる前に大手ハウスメーカーを見学し、相談したときは、「家を建てるには、土地以外に3,000万円はかかる」と言われたのが印象に残っています(約8年前の当時の話です)。我が家の家づくりの費用は、外構や太陽光まで含めて、土地を除いて約2,523万円でした。もちろん、仕様や間取りが違えば、金額は変わります。
本体価格だけでなく、総額で比べる
みなさんが見ている坪単価には、付帯工事や外構、諸経費まで含まれていますか?
広告で見かける坪単価は、建物の本体価格だけを指していることが多く、実際に住み始めるまでには、ほかにも費用がかかります。我が家の場合、次のとおりでした。
購入総額3,423万円の中で、広告の坪単価が指す部分
坪単価は、主に「建物本体」の部分だけを指していることが多いです
我が家の場合、広告の坪単価にあたる建物本体が、購入総額の半分あまりです。残りの、付帯工事、外構、諸経費、太陽光は、あとから積み上がる費用です。付帯工事費の項目や、諸経費の中身など、くわしい内訳は、別の記事にすべて載せています。
ローコスト住宅は、本体価格が安く見えても、契約したあとで、オプションや外構、照明、カーテンなどが追加になり、総額が膨らむことがあります。どこまでが契約金額に含まれているかを、契約前に書面で確認しておくことが大切です。我が家は、地元の工務店や外構業者など複数から相見積りを取り、付帯工事の内訳まで契約前に確認して、総額を先に把握していました。
もうひとつ確認したいのが、金額が税込か税別かです。見積書や広告の金額は、税別で書かれていることも多く、消費税が加わるぶん、実際に払う総額は変わります。この記事の我が家の金額は、すべて税込です。
我が家は、当初の約39万円/坪の本体工事に、必要な部分のグレードを足していく形でした。最初からミドルクラス以上の家でスタートしていたら、お金の関係で、グレードを下げる場面があったかもしれません。足していく作業は前向きで、すごく楽しかったです。
維持費で比べる
家は、建てたあとにも、お金がかかります。比べるべきなのは、初期費用だけでなく、長く住むあいだにかかる費用の合計です。
外壁のメンテナンス
一般的な住宅は、10年ごとに約150万円かかる外壁の塗り替えが目安といわれます。新築10年目前後のメンテナンス費用の目安は、30坪ほどの住宅で100〜250万円程度、外壁と屋根の塗り替えは10〜15年ごとに必要とされています(住宅費用の解説サイトより)。
ローコスト住宅だと、外壁の修繕費が心配になりますよね。「10年ごとに約150万円」と聞いて、「それが3回来たら…」と思いませんでしたか? 私もゾッとしました。なので、外壁には厚さ16mmのサイディング「光セラ16」を、継ぎ目のシーリングには「スーパーKMEWシール」を選びました。最初にこの名前を聞いたときは、「シールなの!? 大丈夫?」と驚きました(笑)。でも、外壁は継ぎ目のシーリングが先に傷んで、修繕につながりやすいと聞いて、耐久力の高いものにしてもらいました。追加費用は70.2万円(税込)。当初の建物本体工事(1,391.8万円)の約5%です。一般的な住宅で30年間に3回かかる想定の約450万円(150万円×3回)と比べると、この組み合わせで、30年目までは大規模な外壁の修繕は不要と見込んでいます。屋根の修繕も、外壁と同じタイミングで行う予定です。もちろん、これは見込みであって、実際は定期的な点検の結果次第です。
外壁の大規模な修繕のタイミング(目安)
いずれも見込みです。実際は点検の結果や仕様で変わります
一般的な住宅は10年ごとに約150万円。我が家は、厚さ16mmのサイディングと30年もつシーリングの組み合わせです

家の形もメンテナンスのしやすさに関わる
屋根や外壁に凹凸が多い家ほど、足場や点検の手間が増え、修繕にかかる費用も手間も大きくなりやすいといわれます。我が家は、総二階建てで、切妻屋根(三角屋根)のキューブ型というシンプルな形です。屋根も外壁も点検や修繕がしやすく、形がシンプルな分、地震や風などの防災面でも有利とされています。
保証の条件
大手ハウスメーカーの長期保証は、20〜60年と手厚いことが魅力です。ただし、10年目などの節目に会社が提案する外壁塗装や防蟻処理などのメンテナンス工事を実施しないと、それ以降の保証が打ち切られる場合があります。保証が長いこと自体は安心ですが、保証を続けるための条件と費用も、あわせて確認しておくと安心です。
光熱費と保険料
日々の光熱費も、維持費のひとつです。我が家は、高気密・高断熱でオール電化にして、太陽光発電(5kW)を載せています。オール電化にしたことで、ガスの基本料金が不要になったことも、毎月の支出を抑えるのに役立っています。FIT期間の10年は、年間約11万円(月平均約0.9万円)の売電収入があります。光熱費は、月平均約1.5万円です(石油ファンヒーターの灯油代、年間約2万円を含みます)。総務省の家計調査(2025年・4人世帯)の、電気代・ガス代・その他の光熱費の合計(月平均約1.98万円)より、安く抑えられています。売電収入を引いた実質は、月平均約0.6万円です。(家計調査の平均には、オール電化とガス併用の家が含まれています)電気代が高騰しているなかで、太陽光発電は非常に助かっています。
保険料にも違いが出ます。我が家の土地は防火の規制がある区域で、省令準耐火構造の仕様が必須でした(追加費用は約13.0万円・税込)。そのおかげもあって、火災保険料の割引対象になる場合があります。我が家の火災保険は、年間約9,100円です(5年契約で45,670円)。耐震等級3は、地震保険の割引対象にもなります。
設備の交換費用も、忘れずに
外壁のほかに、設備の交換費用も、維持費のひとつです。我が家は、建てて7年目に、エコキュートが故障して、取り換えになりました。保証期間は過ぎていて、費用は623,920円(税込)でした(うち10万円は、補助金で戻りました)。急な出費でしたが、備えの積立金で乗り切れました。会社の種類にかかわらず、給湯器などの設備は、いつか交換の時期が来ます。そのための貯金も、維持費の計画に入れておくと安心です。


それぞれの「心配ごと」を、我が家はどうクリアしたか
ローコスト住宅と大手ハウスメーカーには、それぞれ、よく聞く心配ごとがあります。我が家が、それをどう避けたのかを、タイプ別にまとめました。
ローコスト住宅で心配されること
大手ハウスメーカーで心配されること
どちらにも共通すること
どのタイプが向いているか
どれが正解というものではありません。大切にしたいことで、向き不向きが変わります。3つの質問に答えて、向いていそうなタイプを見てみてください。
3つの質問で見つける、向いているタイプ
スタート
▼
Q1性能や費用の内訳を自分で調べ、仕様も自分で決める手間をかけられる?
▶
ローコスト住宅を、調べて選ぶ(我が家)
- 性能の数値や費用の内訳を、自分で調べて納得したい
- 仕様を、自分で選んで決めたい
▼
Q2保証やアフターサービスの手厚さを重視したい?
▶
ローコスト住宅
- 初期費用をできるだけ抑えたい
- 規格化された間取りで問題ない
- 契約内容を、よく確認できる
▼
Q3その手厚さに、予算を回せる余裕がある?
▶
大手ハウスメーカー
- 保証やアフターサービスの手厚さを重視したい
- 品質が均一で、会社の信頼性に任せたい
▶
ローコスト住宅(保証の条件を確認)
- 保証は欲しいが、予算には限りがある
- 保証の年数や、有料メンテナンスの条件を、契約前に確認する
- 規格化された間取りで問題ない
※ どれが正解ということではありません。大切にしたいことで、向き不向きが変わります
まとめ|名前ではなく「中身」で比べる
ローコスト住宅か、大手ハウスメーカーかという「名前」より、性能の数値・総額・維持費という「中身」で比べることが、後悔しない家づくりにつながると思います。同じ坪単価でも、含まれる範囲や性能は、会社や商品でまったく違うからです。
※金額は、特に記載がなければ、すべて税込です。住宅会社ごとの坪単価やメンテナンス周期は、あくまで目安で、条件により変わります。参考にした情報:工務店とハウスメーカーの費用比較、新築10年目のメンテナンス費用、ハウスメーカーの保証期間の比較(いずれも外部サイト)。
なお、我が家が35歳で注文住宅を建てると決めた理由は、こちらにまとめています。


